街のイルミネーションが少しずつ輝きを増すこの季節。
宝石のきらめきが一層恋しくなる頃、ジュエリー界で注目を集めているのが――「モアサナイト（Moissanite）」です。

かつて「ダイヤモンドの代わり」と呼ばれていたこの宝石。ところが今では、“ダイヤよりも強く輝く”といわれるほど、その価値が見直されています。

近年は物価の高騰が続き、金の価格や天然宝石の相場も上昇しています。
以前のように気軽にジュエリーを楽しむことが難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。
そんな中で、手の届く価格で美しさと輝きを両立できるモアサナイトが、
新たな選択肢として注目を浴びているのです。

環境への配慮、科学技術の進化、そして美意識の多様化。
モアサナイトはまさに、新しい時代のジュエリーの象徴といえる存在なのです。

⚫︎モアサナイトとは？

モアサナイトは、1893年にフランスの化学者アンリ・モアサン博士が隕石の中から発見した鉱物「炭化ケイ素（SiC）」をもとに誕生した人工宝石です。
天然では極めて希少なため、現在市場に出回るモアサナイトはすべて研究所で合成されたラボグロウンストーン。

外見はダイヤモンドに非常に似ていますが、屈折率（輝きの強さ）はダイヤを上回るという特性を持ちます。
光を受けた瞬間に放つ七色のきらめき――それはまるで、小さな宇宙を閉じ込めたような美しさ。
まさに“科学が生んだ奇跡の輝き”と呼ばれる理由です。

近年では、技術の進歩によってモアサナイトの品質は大きく向上し、透明度・輝きともにダイヤモンドと見分けがつかないほどのレベルに達しています。
また、無色透明だけでなく、グリーン・ブルー・ピンク・イエローなど、多彩なカラーバリエーションが登場し、個性を表現できる宝石として人気が拡大中です。

さらに、宝石としての認知度も世界的に高まり、ブライダルジュエリーやハイジュエリーにも採用されるケースが増えています。
その需要の高まりから、モアサナイト自体の価格も年々上昇傾向にあり、もはや“代替石”ではなく、ひとつの独立した価値を持つプレシャスストーンとして位置づけられるようになりました。