2025/07/25 00:00
ジュエリー制作に欠かせない道具のひとつ、それが「リューター(ルーター)」です。
小さなパーツの研磨や彫り、穴あけまで、プロの職人から趣味のアクセサリー作家さんまで幅広く使われている便利なアイテムで、自作派の方にも人気があります。
「お気に入りの石を、自分の手で留めてみたい」「空枠に石を入れて、世界に一つだけのジュエリーを作りたい」——そんな想いをお持ちの方にとって、リューターはまさに頼れる相棒です。
ジュエリー春日では、石を自分で留めたい方のために「空枠」も販売しており、ご自宅での制作にも役立てていただけます。今回は、そんな方に向けてリューターの基本や用途、選び方について、実体験も交えながらわかりやすくご紹介します。
■ リューターとは?
リューターとは、先端にさまざまなビット(アタッチメント)を取り付けて使用する「回転工具」の一種です。
小型モーターによってビットを高速で回転させ、その回転力を利用して、金属や天然石、ガラス、木材、レジンなどを削る・磨く・穴をあける・彫るといった多彩な作業が行えます。
もともとは「RYOTOOL(リューター)」という特定のメーカーの製品名でしたが、その汎用性と広がりから、現在では小型の電動回転工具全般を指す通称・代名詞として「リューター」という言葉が使われるようになりました。ドリルやグラインダー、ミニルーターとも呼ばれることがありますが、ジュエリー制作の現場では「リューター」がもっとも一般的な呼び名です。
特にジュエリーのような繊細な加工を必要とする分野では、手作業では難しい微細な磨きや形状調整を助けてくれる重要なアイテム。
ビットの種類を変えることで、表面仕上げから彫金、石留めの下準備まで、一本でさまざまな作業に対応できる「万能の相棒」として、多くの作家や職人に愛用されています。
■ リューターでできること
ジュエリー制作において、リューターはまさになくてはならない道具です。細部の仕上げや加工の精度は、作品の完成度や耐久性、美しさに直結します。特に石留め前の座面(石を留める窪み)作りや、爪の調整など、手作業だけでは難しい微細な加工にはリューターの力が欠かせません。
以下は、ジュエリー制作でリューターが大活躍する代表的な作業です
● 研磨
金属や石の表面を滑らかに整え、ツヤを出す作業です。
仕上げにフェルトバフやシリコンポイントを装着して使うことで、手作業では得られないような鏡面仕上げが可能になります。
完成品の輝きを大きく左右する工程であり、「作品のクオリティを一段階引き上げてくれる」のがこの研磨作業です。
● バリ取り(面取り)
金属を切ったり削ったりした直後には、目に見えない鋭い“バリ”や“引っかかり”が残ります。
それを滑らかに整えることで、見た目の美しさだけでなく着け心地の良さや安全性も大きく向上します。
ジュエリーは身に着けるものだからこそ、この細やかな工程がとても大切です。
● 穴あけ
ピアスやチャームなど、小さなパーツに穴をあける際にもリューターが活躍します。ドリルビットを装着すれば、金属・レジン・天然石など様々な素材に対応でき、強度を保ちつつ正確な穴あけが可能に。
空枠に天然石をセッティングするための「下穴」も、この作業で丁寧に行います。
こうした一つ一つの工程を、確実に・美しく・安全に行うためには、リューターの存在が不可欠。
特に石留め前の下処理(座を整える、爪を整形する)などはリューターがあればより思い通りに出来き、ジュエリーづくりにおける「縁の下の力持ち」といえる道具です。
■ 石留めに欠かせないビット(アタッチメント)
石留めを美しく、そして効率よく行うためには、作業に合ったビット(アタッチメント)の選定がとても重要です。石留めを美しく、そして効率よく行うためには、作業に合ったビットの選定がとても重要です。これらのビットは、0.1ミリ単位という非常に細かいサイズ展開で販売されており、石や枠のサイズに合わせて選ぶ必要があります。
ほんのわずかなサイズ違いでも、石がうまく収まらなかったり、枠を傷めてしまう原因になるため、繊細なジュエリー制作では「適切なサイズ選び」が仕上がりを左右する重要なポイントになります。
ここでは、ジュエリー制作とくに石留めに役立つ基本のビットをご紹介します。
● ラウンドカッター(丸カッター)
座(石を乗せるくぼみ)を作るために使用する万能ビット。石のサイズにぴったり合った直径のものを使うことで、美しい石留めが可能になります。
● ソロバンカッター(コーン型ビット)
爪留めの際、石の形に合わせて細かく彫りを入れるのに適しています。こちらもサイズ選びが命。
● カップバー
爪の先端を丸く整えるビットで、見た目の美しさと安全性の両方を高めてくれます。ヤスリで仕上げるより楽です。
● ドリルビット
穴あけ専用。ピアスやチャーム用の穴開けも、リューターにこのビットを装着すれば安定して加工できます。
💡ワンポイント
ジュエリーに使われる天然石や空枠はミリ単位の精度が求められます。
そのため、ビットのサイズも「0.1ミリ刻み」で揃えることが、確実で美しい石留めへの近道になります。

リューターは、まさに「手のひらの工房」
ひとつあれば、削る・磨く・彫る・留める——あなたの手の中で、ジュエリーづくりの世界が一気に広がります。
「自分で石を留めてみたい」「オリジナルのアクセサリーを作ってみたい」——そんな想いを形にするための、最初の一歩として、リューターはとても頼れる存在です。
キーテールでは、リューターと一緒に使える空枠や天然石もご用意していますので、ぜひ道具選びの参考にしていただければ幸いです。
今後も、ジュエリー制作にまつわる小さなコツや裏話を、ブログで少しずつご紹介してまいります。
どうぞお楽しみに。