2023/03/22 11:30
結婚の約束をしたときには、婚約指輪を渡すというシチュエーションが一般的ですよね。
そもそもなぜプロポーズをするときには指輪を渡すのでしょうか?
ほぼ常識、伝統的に婚約指輪が必要だと思ってたので今回は婚約指輪の歴史や由来、意味について解説します。
婚約指輪の歴史は、古代ローマ時代まで遡ります。
博物誌家だったプリニウスが「当時の指輪は鉄製だった」と書き記しているように当時は何の飾りもない鉄の輪を婚約指輪として贈っていました。
この時代は、結婚よりも婚約の方が重視されていました
古代ローマでは、約束を果たす誓いの印としてお互いに鉄の輪をはめる習慣があり、
これが2世紀頃になると金の指輪が作られ、
恋人同士の愛の証として使われるようになったといいます。
婚約には「婚約届け」などの法的な決まりがあるわけではないので、決意の証の一つとして送られるようになったようです。
今も「婚約届け」はないですし、婚約指輪は
2世紀頃からの習慣が今も残っているんですね
またエジプトの象形文字で結婚という言葉は、永遠という意味合いを持つ「円」で描かれていました。
はるか昔の頃から、指輪の円の形には「永遠に途切れない」という深い意味が込められていたのですね
-ダイヤモンドの婚約指輪の起源は15世紀ごろ-
史実にのこる世界で最初の婚約指輪は、
15世紀にブルゴーニュ公シャルルの娘マリーとハプスブルグ家の王子マクシミリアンとの
婚約の際に贈られた指輪です。
二人が結婚する直前の1477年7月30日、モロルティンガー博士が、マクシミリアンに送った手紙には
「婚礼の際、殿下はダイヤモンドのついた指輪と金の指輪をお持ちにならなければなりません。」
と書かれていました。
これはダイヤモンドが婚約の証に使われたことを証明する最古の例です。
ちなみにこのとき贈られたのはMの文字をかたどった指輪で、聖母マリアとふたり(マリー・マクシミリアン)の結びつきを表していると言われています。
このように15世紀末には、ダイヤモンドリングを贈ることが王族の結婚の重要な儀式となりました。
ダイヤモンドは美しい輝きを持つとともに、
天然の鉱物の中では最も硬い物質で「不屈の精神、永遠の絆、約束」を示すといわれています。そのため、 男性と女性を結び付ける「永遠に続く愛のシンボル」として婚約指輪に装飾する宝石としてふさわしいとされました。
1820年頃、芸術の世界ではロマン主義が進みました。
この影響を受けて流行したのが【リガードリング】です。
「好意・愛情・尊愛」を表すREGARDのスペルをそれぞれ頭文字に持つ、
R・・・ルビー(Ruby)
E・・・エメラルド(Emerald)
G・・・ガーネット(Garnet)
A・・・アメシスト(Amethyst)
R・・・ルビー(Ruby)
D・・・ダイヤモンド(Diamond)
6つの宝石を並べたリガードリングに自分の想いを込めて贈る婚約指輪だったのです。
時代を映し出した贅沢かつロマンチックなリングですね。
-19世紀末には一般の人々もダイヤモンドの婚約指輪を贈るように-
ダイヤモンドを飾った婚約指輪は長い間、
王侯貴族など富裕な人々のものでしかありませんでしたが、 19世紀末には一般の人々にも広まってきました。
広まった理由の一つには、1866年に南アフリカでダイヤモンドの鉱山が発見され、ダイヤモンドを安定的に供給できるようになったことがあるようです。
18世紀後半から19世紀にかけては、
ショーメやモーブッサン、ティファニー、
カルティエ、ブシュロン、ブルガリなど、
いまも世界的ブランドとして知られる高級ジュエラーも次々と誕生、ダイヤモンドの婚約指輪を供給するようになっていきました。
人気を集めたのが大きなダイヤモンドが1粒だけさんぜんと輝くソリティアリング。爪でダイヤモンドを支える立て爪はダイヤモンドの輝きをより引き出すとして喜ばれ、中でも1886年にティファニーが考案した「ティファニー・セッティング」は一世をふうびしました。
ダイヤモンドを持ち上げるようにして6本の爪で支えた「ティファニー・セッティング」のリングは、究極の婚約指輪としていまも世界中の女性たちの憧れの的となっています。
日本では奈良時代から江戸時代まで指輪を身に着ける習慣がほとんどなく、明治時代になって西洋文化が一気に流入してから、指輪も広まったようです。
日本での婚約指輪の歴史は浅く1960年代頃
から結納品の一つとして贈られるようになったと言われています。
当時はダイヤモンドではなく、ほとんどの人が真珠や誕生石で作られた指輪を贈っていました。
現在の婚約指輪のイメージが確立されたのは、1970年代頃。
ダイヤモンドの採掘や販売で知られる宝石会社がキャンペーンで流したCMがきっかけとされています。
ちなみによく聞く「お給料の3か月分」というのも、そのCMで使われたキャッチコピーです。
現在の婚約指輪の相場は30万円前後ですのでご安心を
婚約指輪の慣習が定着したのは昭和30年代半ば以降のこと。それまであったダイヤモンドの輸入制限もなくなり、次第にダイヤモンドを飾った婚約指輪が一般化してきました。昭和40年代にはダイヤモンド供給会社による婚約指輪のキャンペーンも行われ、一気に婚約指輪の慣習が広まり、定着したようです。